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【#モリトーク】第85話:メジャーバージョンアップへの期待

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#モリトーク

第85話

メジャーバージョンアップへの期待

(2013/12/10 18:07)

 Google社が高速リリースサイクルという概念をオンラインソフトに持ち込んで以来、メジャーバージョンアップの意味が薄れつつある。正確には、バージョンアップへの期待が麻痺してきたと言うべきかもしれない。しかしそれは、メジャーバージョンアップの意味を考え直すきっかけにもなるだろう。

 一般的にイメージするオンラインソフトのメジャーバージョンアップでは、いくつかの新機能が単純に追加され、その土台は大きく変わらない。また、新機能が既存の機能を代替するなら、不要になった機能が整理されることもあるだろう。いずれにしても、そこには何かしらの“期待”が存在するはずだ。

窓の杜 - 【#モリトーク】第27話:高速リリースの真価
http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/moritalk/20121002_563400.html
【#モリトーク】第79話:高速リリースと開発チャンネル - 窓の杜
http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/moritalk/20131029_621328.html
「Sleipnir 5」

 前回および前々回に取り上げた「Sleipnir」は、Webレンダリングエンジン“Blink”への一本化を機に、バージョン5へのメジャーバージョンアップを果たした。注目すべきは、ほぼ新作のWebブラウザーとして生まれ変わったことだ。しかし、事前にベータ版などが公開されることもなかったので、今回の急な方針転換を予測できたユーザーは少ないだろう。

 そのためか、フェンリル社が運営するブログへのコメントは批判的な意見、とくに機能の減少を疑問視する声が多いようだ。もし筆者が「Sleipnir」をメインのWebブラウザーとして利用していたなら、同じく素直に喜べなかったかもしれない。

【#モリトーク】第84話:Sleipnirを象徴する三種の神器 - 窓の杜
http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/moritalk/20131203_626029.html
【#モリトーク】第83話:Sleipnirが物語るBlink効果 - 窓の杜
http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/moritalk/20131126_625075.html
「Pixia」v4

 窓の杜は先週、「Pixia」の公開15周年を記念し、その作者である丸岡勇夫氏のインタビュー記事を掲載した。そのなかで丸岡氏は、バージョンアップのたびに機能を追加していたら、新規のユーザーがついてこられないと指摘している。

 三大Webブラウザーである「Internet Explorer」「Google Chrome」「Firefox」がコモディティ化した理由はまさに、丸岡氏の意見と同じような設計思想にあると考えられる。いまやOSよりも重要なWebブラウザーは、初めて使う人も含め、万人にフレンドリーでなければならないからだ。

【公開15周年記念企画】「Pixia」作者 丸岡勇夫氏インタビュー - 窓の杜
http://www.forest.impress.co.jp/docs/special/20131205_626030.html
【#モリトーク】第48話:IE10が示す現在と未来 - 窓の杜
http://www.forest.impress.co.jp/docs/serial/moritalk/20130305_590326.html
「Sleipnir 4」

 多機能であることと使いにくいことは紙一重であり、その視点で「Sleipnir」を見れば、前バージョンの「Sleipnir 4」は多機能であるが故に、新規ユーザーが手を出しにくいソフトだったのかもしれない。それは、同様に多機能だった「Opera」にも通じる話ではないだろうか。

 もしそうであれば、「Sleipnir」と「Opera」のリニューアルは理にかなっている。ただし、三大Webブラウザーの後を追うだけでは意味がない上、筆者が本コラムで繰り返し言及しているように、コモディティ化は退屈だ。その点では、「Sleipnir 5」のアプローチは出だしとしてなら悪くない。新規ユーザー獲得の間口を広げつつ、ほかのBlink搭載Webブラウザーには存在しない機能を揃えてきた。

 もちろん、既存ユーザーから不満の声が挙がるのも納得できる。それでも、これまでのフェンリル社の実績をふまえれば、これを完成品とすることは考えにくい。「Opera」のリニューアル作業に取り組むOpera社は、機能の復活などについてブログで積極的に発信しているので、フェンリル社にもそうした対応を期待したいところだ。

Opera Desktop Team - Desktop Team
http://my.opera.com/desktopteam/blog/
フェンリル | デベロッパーズブログ
http://blog.fenrir-inc.com/jp/

(中井 浩晶)


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