インターネット上で公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介している『週末ゲーム』。今回は、8月10日から12日にかけて開催が予定されている国内最大規模の同人誌即売会“コミックマーケット（コミケ）”を目前に控え、“同人ゲーム”をテーマとした特集をお届けする。
同人ゲームは、フリーゲームなどと同様に個人や趣味のサークルによって制作されているが、発表の場は全国各地で開催される即売会や、専門ショップでの委託販売が中心となっている。また最近では、ダウンロード販売される例も増えつつある。
今回は、通称“夏コミ”と呼ばれる次回のコミケに出展するサークルの作品の中から、Webで体験版が公開されている6作品をご紹介。また、本特集で過去に紹介した作品の続編や完成版、関連作品に関する情報も併せて紹介する。いずれも夏コミでの頒布内容などの詳細は、サークルのWebサイトで確認してほしい。
シューティングゲーム編
RPG編
コンボを決めて大ダメージ！爽快バトルが魅力のRPG「星樹の機神 −プラネットルーラー−」
「星樹の機神 −プラネットルーラー−」は、“星樹”から供給されるエーテルエネルギーの恵みで成り立っている世界を舞台にしたRPG。夏コミでは完成版を頒布予定で、体験版では序盤の1時間ほどをプレイ可能だ。
本作の主人公は、“旧世界”と呼ばれる超文明の遺産を研究するハルベルン機甲学園に所属する少年“クラム”。遺跡調査の最中に正体不明の少女“レトラ”と出会ったクラムは、彼女と共に遺跡の深部へと向かい、やがて“機神”と呼ばれる旧世界の遺産と、星樹にまつわる謎に関わっていくことになる……。
特徴は、キャラクターごとに設定された“コスト”の範囲内で、1ターンに複数回行動できる戦闘システム。“アーツ”と呼ばれる攻撃スキルをあらかじめ4つまでセットして戦う仕組みで、強力なアーツほど消費コストも高い。サイドビューで表示される戦闘画面は、アーツごとに異なる戦闘アニメも見どころとなっている。
各アーツには、打撃、射撃、火炎、雷撃などさまざまな属性があり、敵の弱点属性を突くことで大ダメージを与えられる。また、アーツの選択を一定時間内に連続で行うことでコンボとなり、ヒット数に応じてコンボレートが上がってダメージにボーナスがつく仕組み。アーツの選択は先行入力が可能で操作レスポンスもよく、RPGでありながら格闘ゲームばりのコンボを決めていけるのが面白い。
アーツは一撃が重いもの、多段ヒットしてレートが上がりやすいものなどコンボ面でも特徴があり、同じアーツを連続で出してもレートは上がらないという制限も。そのため属性、コスト、ヒット数を考慮してセットするアーツの組み合わせや繰り出す順番などを考えることで、効率的に敵を倒していけるのがポイントだ。一方で敵の攻撃も激しくザコ戦でも気を抜けないゲームバランスとなっており、全滅時は即ゲームオーバー。セーブも特定箇所でしかできないため、緊張感のあるバトルを楽しめる。
さらに、“TP”を消費してアーツを高威力な派生版へと変化させる“オーバーアーツ”、TP最大時に全TPを消費して使えるコストを2倍にする“オーバーテンション”というシステムもあり、ここぞという時に使えば超絶的な大ダメージを与えることが可能。戦略性とド派手な演出が両立した、爽快感あふれるバトルが醍醐味の作品だ。
- 「星樹の機神 −プラネットルーラー−」体験版
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- 【著作権者】
- 電猫遊戯
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7/8
- 【ソフト種別】
- 体験版
- 【バージョン】
- 1.10（13/06/24）
ノベルゲーム編
未開の島を舞台に、伝奇ロマンと復讐劇が交差するノベルゲーム「幻想魔境奇譚」
「幻想魔境奇譚」は、大西洋に浮かぶ島の伝承を解き明かしつつ、妻を失った男の復讐劇が描かれる伝奇サスペンスノベルゲーム。夏コミでの完成版頒布に向けて制作が進められており、作者サイトで公開されているWeb体験版では第二章の終わりまでプレイきる。
本作の主人公であり語り部となる“わたし”とその妻は、新婚旅行で乗った豪華客船が事故に遭ったため救命ボートへ向かうが、腕に稲妻のような痣のある女に押され海へと投げ出されてしまう。奇跡的に無人島へ流れ着いた“わたし”と妻だが、やがて妻は病死。その後“わたし”はとある島へと調査に向かう船に救助される。幸運に感謝する“わたし”だったが、調査隊の隊長である考古学助教授“早坂明日香”の腕に稲妻のような痣を見つけ、『彼女こそが妻を死に追いやった仇である』と直感するのだった……。
わずかな原住民が住む未開の島“ヤム・ラ・カヌ”で伝承の謎に迫っていく伝奇ロマンと、主人公が調査隊に同行しつつ明日香を殺す機会を虎視眈々と伺っていく復讐劇が同時進行するのが本作の醍醐味。伝奇ものとしては島の近海で目撃されたという“人魚”の探索がひとつのテーマだが、一方で島においては“巨大な鳥”が信仰の対象となっており、これらの要素がどう絡み合っていくのか気になるところだ。民俗学的な考察も挟まれ、想像力を刺激する内容となっている。
調査隊のメンバーは、独自の行動規範をもち、最初は“わたし”を助けることにも反対だった探検家の“ロレンツァ”や、抜け目の無さを感じさせる米国軍人“クリス”、日本刀を携えた寡黙な男で明日香の護衛を務める“九頭”など、癖のある人物ばかり。お互いを信用しておらず衝突もある中で“わたし”がどう立ち回っていくのか、緊張感のある掛け合いも見どころだ。
縦書きで表示されるテキストは落ち着いた筆致で、妻を失った“わたし”の暗い情熱を淡々と描き出す。グラフィックはテキストの脇に背景と立ち絵が表示されるほか、ときに場面を象徴する写真が挿入されたり、全画面でイラストや広大な風景写真が表示されるのも印象的だ。黄金比にもとづいたウィンドウサイズやリボルバーの弾倉をイメージしたセーブ画面など、インターフェイスにもこだわりを感じさせる。
なお、本作はWeb上で無償公開されている体験版のほかに、第四章の途中までプレイできる有償体験版も通販などで頒布されている。第三章以降ではいよいよ島の聖地である“ドゥマル・ヤソム”がその姿を現すほか、戦闘シーンも登場。カットインとエフェクトによる白熱のバトル演出は大きな見どころとなっている。
- 「幻想魔境奇譚」
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- 【著作権者】
- 香津宮裕介 氏 ほか
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- 体験版
- 【バージョン】
- 0.11 web体験版（12/10/15）
過去に紹介したサークルの続編・完成版・関連作品情報
ここでは、過去の“同人ゲーム体験版特集”で作品を紹介したサークルの、夏コミでの続編や完成版、関連作品の頒布情報をお伝えする。なお、掲載している画像の一部は当時の体験版のもので、現在は変更されている可能性もある。
エンドレスシラフ
コマンド入力による特殊攻撃が特徴のシューティングゲーム「∀kashicverse -Malicious Wake-」のファンディスクを頒布予定。
Mercenary
シューティングゲーム「Another Apocalypse」シリーズのファンブック「GALAXY アポ通」を頒布予定。キャラクターの詳細データや完全書き下ろしのサイドストーリー、シリーズ第2作「Another Apocalypse ? Dual Pagan」の後日談を描いた描き下ろし漫画を収録とのこと。
Spicy Tails
月面都市を舞台にした経済＋SFノベル「WORLD END ECONOMiCA」三部作の最終章となるEpisode-3を頒布予定。なお完全版として、Episode-1、Episode-2の内容も含まれる。
フワフワソ
ゆるふわサイバーパンク・ミステリノベルゲーム「未来探偵ソラとピヨちゃん」シリーズの新作「未来探偵ソラとピヨちゃん episode essential」を頒布予定。メインストーリーの締めとなる“さようならピヨちゃん事件”が収録されるという。
rats nest
超能力がテーマのSFミステリーノベルゲーム「LOOT」のスピンオフ作品「LOOT reconstruction」を頒布予定。「LOOT」の登場人物によるクローズド・サークルもののミステリーで、「LOOT」とは各キャラクターのもつ能力や人間関係がほぼ異なるという。
なおrats nestは、「LOOT」を制作したサークルCREO SOFTWAREから同作の制作メンバーが派生して設立されたサークル。
granat
2012年冬コミ前に体験版を紹介した、分岐の多さが特徴のループものアドベンチャーゲーム「すり替えられた果実の破片」の完成版を頒布予定。
atelier773
ウェスタン冒険ノベル「DEAD END JUNCTION」など3作品の楽曲を収録したオリジナルサウンドトラックを頒布予定。
Novectacle
西洋浪漫サスペンスホラー・ノベルゲーム「ファタモルガーナの館」の設定資料集を頒布予定。
ヨツツジエコー
異能伝奇バトル系ノベルゲーム「蟲ノ目」の設定資料集「蟲辞苑〜ムシノメマニアックス〜」および、「蟲ノ目」のキャラクターを利用したカードゲーム「異能力ポーカー〜蟲ノ目edition〜」を頒布予定。
ハトクラPC製作委員会
デッキ構築型カードゲーム「ハートオブクラウンPC」の拡張ディスク「北限の旋律」を頒布予定。